2014/08/13

【研究紹介11】君のことを知らないと嘘をつきたいけど、私の脳(楔前部)は協力してくれない(Scientific Reports, 2012)

Abstract(ざっくり和訳)
先行研究において前頭前皮質、前帯状領域や頭頂領域などの活性化が嘘をつく行為との関連があることが報告されてきた。しかし、これらの領域の賦活は嘘をつく行為に特化した神経活動ではなく、実行機能の活動を反映したものと考えられるため、嘘をつくときの妥当な指標とは言えない可能性がある。そこで、本研究では実行機能ではなく、顔の熟知性に関する神経活動を指標とすることで、顔の熟知性に関する嘘をつく行為に特化した指標を提案するための実験を行った。顔再認課題を用いた実験の結果、参加者の左楔前部の賦活状況によって、本当は見たことがある顔について「知らない」と嘘をついた85%(11/13)の嘘を見抜くことができた。この水準の正確性はチャンスレベル(50%)よりもかなり高く、先行研究で報告されている専門家の虚偽検出のレベルと同程度であった。

島皮質 From Wikipedia


【Togetterによる簡単な研究紹介はこちら

●文献情報
Lee, T. M. C., Leung, M., Lee, T. M. Y., Raine, A. & Chan, C. C. H. (2013). I want to lie about not knowing you, but my precuneus refuses to cooperate. Scientific Reports, 3, e1636.