2014/08/19

【研究紹介18】オキシトシンの投与は社会的嘘の検出を阻害する(Psychological Science, 2014)

Abstract(ざっくり和訳)
仲間の形成、交渉や駆け引きなどの社会的やり取りには、非協力的な意図を隠蔽し、検出する能力が必要になる。しかしながら、これまで嘘を見抜く基盤となる心理生物学的要因はあまり検討されてこなかった。本研究では、社会的ジレンマゲームのテレビ番組内で示された本当と嘘の協力意図を判別する能力における社会的認知や行動に影響を与える神経ペプチドの一つであるオキシトシンの役割について検討を行った。その結果、参加者は嘘つきと協力者を正確に区別することが可能であり、オキシトシンの投与によってこの正確性が低下することが示された。社会的警戒能力が低下することによって、この正確性が低下している可能性について議論した。本研究の結果は他者の意図を理解するためのツールとしてのオキシトシンの投与に注意を呼びかけるものであり、他者から嘘をつかれる可能性のある社会生活における投与に特に注意が必要となる。

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●文献情報
Israel, S., Hart, E., & Winter, E. (2014). Oxytocin decrease accuracy in the perception of social deception. Psychological Science, 25, pp.293-295.(abstractのみ)