2015/05/21

【研究紹介37】ヒバリ(朝型)とフクロウ(夜型)の道徳性:非道徳的行動は時刻と同様にクロノタイプに依存する(Psychological Sciences, 2014)

Kouchaki and Smith (2014) の論文に対するコメント論文なのでAbstractはありません。

●文献情報
Gunia, B. C., Barnes, C. M., & Sah, S. (in press). The morality of larks and owls: Unethical behavior depends on chronotype as well as time of day. Psychological Science

以下、ざっくり研究紹介。

  • 研究紹介20のKouchaki and Smith (2014) の論文に対するコメント論文です。こちらの論文では朝は道徳的な行動を取りやすい効果(Morning morality effect)を実証した研究です。詳しい内容は研究紹介20をご覧ください。この効果は自己制御資源が有限であり、生活しているだけでこの資源を消費していくため、朝よりも夜に資源が枯渇した結果、道徳的でない行動をとってしまうといったものでした。


  • この論文に対して、著者たちは時刻だけでなく、クロノタイプも道徳性に影響しているはずだといった仮説を立て、同じパラダイムで研究をしています。クロノタイプは、朝型や夜型といったように人の生活サイクルがどちらにシフトしているかを示すものです。中間型もあるみたいです。クロノタイプを測定する尺度があります(短縮版もあり)。






  • 著者達の仮説としては、朝型の人にはMornig morality effectが生じるが、夜型の人にはEvening morality effectが生じるはずといったものです。実験を2つ行っていますが、どちらもこの仮説にそった結果が得られていました。
  • ということで、著者たちはクロノタイプによる道徳効果(Chronotype morality effect)を提唱しています。これはMorning morality effectを否定するものではなく、この効果をさらに拡張したものと言えます。
  • 前回の研究紹介では、「誠実な人から本当のことを言ってもらいたいときは、午後よりも午前中に話を聞くのが良いと考えられます」とまとめていましたが、今回の研究から「本当のことを言ってもらいたいときは、その人のクロノタイプに合わせて、話を聞く時間を調整した方が良い」に変更させていただきます。