2015/07/01

電話勧誘による詐欺に対する感受性尺度の紹介

先日、マーキュリー2世さん(@uranus_2)のツイートを拝見していたところ、電話勧誘による詐欺に対する感受性尺度を使用した研究が紹介されていました。研究は2つあります。どちらも縦断的研究です。




尺度の最初の出典がうまく見つけられなかったのですが、アメリカのAARPといった団体で高齢者が電話勧誘による詐欺にひっかかりやすいかどうかを測定する以下の尺度が使用されているそうです。5項目で簡単に回答できるので、紹介いたします。訳に自信がないので、英語も付記しておきます。


【電話勧誘による詐欺に対する感受性尺度】


  1. 誰が電話をかけてきたか分からなくても、私は毎回電話をとる(I answer the phone whenever it rings, even if I do not know who is calling)。
  2. 電話をかけてきた人が、電話で投資等の勧誘をする人、知らない人や、電話で話をしたくない人であっても、私は電話をすぐに切ることができない(I have difficulity ending a phone call, even if the caller is a telemarketer, someone I do not know, or someone I did not wish to call me)。
  3. あまりに話が良すぎて信じられないことだとしても、たいてい信じてしまう(If something sounds too good to be true, it usually is)。
  4. 65歳以上の人はよく詐欺師の標的にされる(Persons over the age of 65 are often targeted by con-artists)。
  5. 投資等の勧誘をする人が電話をかけてきた場合には、たいてい私は最初から最後まで話を聞いてしまう(If a telemarketer call s me, I usually listen to what they have to say)。
※項目3の訳に誤りがありました...。申し訳ありません。以前は「それは普通のことである」と訳していましたが、赤字の方が正しいと思われます。@myuukoさんのご指摘です。ありがとうございます!

  • こちらの尺度でおもしろいのは電話を受けたときの行動に焦点を当てているところです。確かに怪しい電話でもすぐに切れないとリスクになるなあと思いました。
  • 上記1から5の項目について「1:非常にそう思う~7:まったくそう思わない」で回答してください。項目1、2と5は逆転項目なので値を反転する必要があります。たとえば、項目1で「1:非常にそう思う」を選択した場合、計算するときは「7:まったくそう思わない」に反転する感じです。最終的に5項目の平均値を算出するようです。
  • なんかよくわからない人は、次の式で計算してみてください。
「((8-項目1)+(8-項目2)+項目3+項目4+(8-項目5))/ 5」
  • 値が大きいほど詐欺に対する感受性が強く、騙されにくいようです。ちなみに、一つ目の研究では639人の高齢者(平均年齢82.4歳、標準偏差7.6歳)の平均値は2.88、標準偏差0.70となっていました。尺度得点が正規分布すると仮定すると(仮定してよいのかは置いておいて。。。)、図1みたいな感じになります。1.48は騙されやすい方に2標準偏差動かした値です。

図1 正規分布を仮定した尺度得点
注1)研究1の平均値と標準偏差から算出
注2)実際に正規分布しているかは不明
  • おれおれ詐欺(母さん助けて詐欺)、振り込め詐欺、上京型詐欺等、電話にかかわる詐欺が大きな社会問題になっていますので、何かの振り返りに使用できるかもしれないと思って紹介させていただきました。